About 2007年07月

2007年07月にブログ「菊池法務行政書士事務所」に投稿されたすべてのエントリです。新しい順に並んでいます。

前のアーカイブは2007年06月です。

次のアーカイブは2007年10月です。

他にも多くのエントリがあります。メインページアーカイブページも見てください。

Powered by
Movable Type

« 2007年06月 | メイン | 2007年10月 »

2007年07月

外国人研修制度の行く末。

本来、研修制度は、日本の技術を学んで自国に持ち帰って、発展に寄与するのが目的。外国人は、「研修」という在留資格を根拠に日本に滞在することができます。

ところが、「研修」と称して、過酷な労働化に置く状況が浮き彫りなっています。

しかも、「研修」は働くことを想定していないので、労働法の保護の枠外となり、保護されません。
できるだけ安い賃金で働かせたい会社の思惑がありますが、それには、高齢化社会を迎え、外国人の労働力(特に単純労働)が必要となってきたという背景もあります。


役所間でも考え方に差があり、
厚生労働省は、「研修」を廃止し、技能実習(*在留資格としては、「特定活動」)へ変更し、労働法の保護の枠内に置くことを主張。

経済産業省は、「研修」を存続されることを主張。

外国人が日本に在留できるか否かの資格を与える役所である法務省の法務大臣が私案として、外国人の単純労働を認める見解を発表。
できるだけ安く働かせたいとして「研修」制度を本来の目的と違う形で利用してきた会社の思惑に配慮しつつ、単純労働者と位置づけことで労働法の保護の枠内においたということで、上記2つの役所のバランスを考えた見解ともいえます。

しかし、そもそも法務省は、「日本にとって優秀な外国人を入れたい、単純労働者は認めない」というスタンスを、今までとり続けてきました。上記3つの見解とともに日本の将来を考えると、もう一度、「研修」制度をふくめ、単純労働者を受け入れの問題について考える必要があるとか思います。

* 現在の入管法では、在留資格が「研修」の外国人の中で、一定水準の技術等を身につけ、かつ、日本での生活が良好であるなどの条件をクリアした者のみが、在留資格の変更(「研修」→「特定活動」)の許可を受けて、晴れて技能実習生となります。現状では、技能実習生になるためには、前提として、「研修」生であったことが必要となります。 前述しましたが、労働法等との関係は以下のとおり。

研修生のとき(在留資格「研修」)       → 労働法等の保護なし。
技能実習生のとき(在留資格「特定活動」)  → 労働法等の保護あり。

デジタルコンテンツ法(仮称)立法化に向けての議論。

著作権法の特別法として、「デジタルコンテンツ法」制定に向けての議論が一部にあります。

主に上智大学教授小塚荘一郎先生や一橋大学大学院教授相澤英孝先生が主張されております。

今まで以上に、コンテンツに触れる機会が増えることになるもので、とても興味深く、かつ夢のある主張です。その一部を、私が理解した限度でご紹介したいと思います(なお、説明不十分の箇所もございますので、興味のある方は、日経新聞2007年1月31日の朝刊の「デジタルコンテンツ法」に関する記事(上智大学教授小塚荘一郎先生著)や、上記お二人の先生の論文等をお読みなることをお勧め致します)。

ご紹介したい点は、希望者には登録制度を用いるという点。上記登録制度について説明しますと、

① コンテンツ(著作物)の権利者が、そのコンテンツを利用をさせてもいいと考えるときには、その利用条件等を提示して登録する。逆に、そのコンテンツを利用をさせたくないと考えるときには、利用させない旨(禁止)の登録をする、

のみならず、

② コンテンツを利用したい人が「そのコンテンツを利用します」という登録する、

というものです。

興味を引いたのは、特に②の登録で、この登録により、コンテンツの利用が原則可能となります。これにより、従来よりもコンテンツ(過去のコンテンツなど)の利用がしやすくなると思われます。

現状の著作権法では、コンテンツを利用する際には、事前に、権利者の承諾をとることが必要となり、極端な話、一人でも反対することにより、利用できなくなります。

                 ≪ 図式化すると、≫

・現状の著作権法 → 原則:使用不可。例外:承諾があれば、使用可

・デジタルコンテンツ法(仮称) → 原則:使用可能。例外:利用希望しない人がいると、仲裁制度等を利用して調整が必要。使用不可の場合もありうる。

ある種、原則・例外が逆転している形となります。


デジタルコンテンツ法(仮称)のメリットとしては、


登録により、事前の承諾が不要となり、原則使用できるということのみならず、仮に、使用を拒否する人がでてきても、その出現により、少なくとも、誰と権利に関する話をすればいいかという、いわゆる交渉相手が見つかることになる(今は、誰が権利者がわからず、探すのが難しいときがある)、

という点が考えられます。


まだまだ、これからの議論とのことですが、今後の展開が楽しみです。

買収防衛策

6月の集中株主総会が終了し、ファンドに対する各社の対応と結果が見えてきました。

その一例、ブルドックとスティールのケース。

場面は、

1) スティールがブルドックの株式の公開買い付け(TOB)を仕掛ける
2) ブルドックが株主総会で買収防衛策(新株予約権の発行)につき特別決議による承認を得、対抗する
3) スティールは2)の防衛策の発動の差し止めを裁判所に求めた、      というもの。


東京地裁・高裁ともに、スティールの求めを認めず、ブルドックの防衛策を認めました。。


東京高裁の判断を中心に、私見も交えて、ポイントを整理すると、以下の点が挙げられます。

①  まず、確認として、今回は、TOB後に買収防衛策を導入したという意味で有事導入型(事後的な導入)の場面です(事前警告型の防衛策とは場面が異)。

 ブルドックは株主総会において普通決議よりも決議要件の厳しい特別決議にて承認を得ています。

防衛策の承認決定を取締役会ですますと、どうしても経営者側の保身と思われることから、株主総会の決議、しかも、一番厳しい特別決議によるとした点で、地裁・高裁も一定の評価を示めしたといえます。

 今回の防衛策は、全株主に新株予約権を発行するものの、スティールに発行されるものについては、新株に転換できないとういうものです。

当然、株主を平等に取り扱わなければいけないという、株主平等原則に抵触する恐れが出てきます。

但し、原則に対する例外として、特に高裁では、

スティールは、2003年以降の買収においても転売して利益を上げているという事実、ブルドックに対する具体的な経営方針を提示しないことから、グリーンメーラー(濫用的買収者)と認定し、そのような株主に対して、他の株主と異なる扱いをしても、株主平等原則に反しないとしました。

結論としては、妥当としても、ファンドは常にグリーンメーラーとされかねないとして、一部反論もあります。


 スティールは、今回の買収防衛策により持ち株比率は低下し、経済的損失を受ける(持ち株比率が下がる)ことから、ブルドックは、その穴埋めとして、お金(約23億円)を支払うものとしました。

この点については、23億円という金額が妥当か否かという問題のほかに、そもそも経済的な補償が必要だったのか、グリーンメーラーを助長する結果にならないか、など再検討する必要があるかと思います。

スティールは、上記の東京高裁の決定に対して、最高裁判所への申し立て(特別抗告と許可抗告)をしました。最高裁の判断に注目が集まるところです.。

以上