◆病院などに入院して急に容体が悪化しているが(体が思うように動かない)、意識だけはしっかりしており、遺言を口授することが可能な場合には、簡易な形での遺言をすることができます。
この遺言を
死亡危急時遺言(民法976条)
と言います。
◆意識がしっかりしていれば、予定があえば、公証役場と打ち合わせて、公正証書遺言を作成することも可能なときもあります(公証人の先生には病院まで出張して頂く)。
しかし、
意識だけはしっかりしていても、容体が悪化してしまったのが夜間だったり、土日祝だったりして法律の専門家や公証人に相談する暇のないことがあります(特に公正証書遺言を作成しようと思っても、土日休日は公証役場はお休みです)。
上記のような場合には、死亡危急時遺言が有用です。
◆死亡危急時遺言が認められるための要件は、以下の4つです。
(1)証人3人以上の立会いをもって、
(2)容体の悪化している遺言者が、その証人のうち1人に遺言の趣旨を口授して、
(3)その口授を受けた者が筆記して、遺言者と他の証人に読み聞かせ又は閲覧させ、
(4)各証人がその筆記の正確なことを承認した後、これに署名し、押印する
◆ただし、証人になれない人がいることに注意が必要です。
以下の方が、証人等の欠格事由に該当します。
すなわち、未成年者、推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族、公証人の配偶者・四親等内の親族・書記及び使用人については、遺言の証人及び立会人になることができません(民法974条)。
◆◆死亡危急時遺言については以下の3つの点で注意が必要です。
(1)遺言者作成の自筆証書遺言と異なり、立会人に対して口授するだけなので、その遺言の真否につき、遺言の日から20日以内に家庭裁判所の審判手続きにおいて確認の申立てをする必要があります。(民法976条4項)
(2)この確認があっても、遺言者が死亡した後の検認手続も必要です。
(3)遺言者が普通の方式の遺言をすることができるようになった時から6ヶ月間生存するときは、確認を受けた遺言であっても失効します。
従って、確認を受けた後であっても、体調が回復しましたら、改めて、遺言書(できれば公正証書遺言)を作成する段取りをはじめるのがよろしいでしょう。