(引き続き、受益者連続型信託について、お話します。)
前回では、
受益者連続型信託の具体的イメージとしては、
「委託者Aと受託者Bとの信託契約において、当初の受益者をCとしますが、
同時に、Bが死亡した時の第二次受益者をC、Cが死亡した時の第三次受益者をDとする旨を定める信託」のこと
そして、
似ている制度として、従来から議論があった「後継ぎ遺贈」の
欠点を克服して、信託法で定められています
というお話しをしました。
さて、今回ですが、
受益者連続型信託のメリット・デメリットについて、触れていきたい
と思います。
1 受益者連続型信託のメリット・デメリット
メリットとしては、
(1)形式上、受益を受ける人に所有権は移転しないが、実質的に、後継ぎ遺贈と同様の効果が生じる。
↑ この点がまさに最大のメリットです!!
(2)後継ぎ遺贈では不明確であった登記、税務の点も、明確になった。
↑ この点も大きいです。
後継ぎの場合には、できるか否かは正直誰も明確にできないグレーゾーンだったと思います(できるような、、、できないような、、、)
しかし、
デメリットとしては、以下の点が挙げられます。
(1)相続と同様の恩恵と言われても、不動産登記簿謄本では権利者欄に名前は出ない(出るのは受託者)ため、一見、わかりにくい。あくまで、信託なので、当たり前といえば当たり前なのですが、この点を法律に詳しくない方が理解するのは難しいところもあると思います。
「登記原因が、信託のため、不動産登記簿謄本では、権利者欄には、受託者(上記メリットの例でいえば、夫の兄弟)名が記載されている。
受益者(上記メリットの例でいえば、妻)の名前がでてくるのは、
法務局で、登記簿謄本とは別に、「信託原簿」というものも取り寄せて、
初めて、わかるため。」疑念を抱かせるかもしれません。
(2)信託後、当該信託財産に処分の必要が出ても、処分しにくい。
このようなデメリット(わかりにくさ)も手伝ってか、
ある公証役場では、
受益者連続型信託の契約や遺言は、まだ扱っていない
とのことでした。
受益者連続型信託の場合は、その手続上の問題も比較的クリアされています(メリットの(2))。
従いまして、案件によっては、有効な方法になると思われます。
受益者連続型信託の有用性を、わかりやすく説明して、普及していくのも、
法務・手続の仕事に携わる者としての使命と考えています。
(次回に続く)。
引用文献:公正証書モデル文例 (新日本法規)
P928の2の34~44
会社法務Ato2Z 2009年8月 P16~21