随分、大げさなタイトルとなってしまいましたが、去年、私の支部の新人の方に向けたメッセージの抜粋です。
人それぞれかと思いますが、私としては、このあたりがポイントかなと考え、自戒を込めてまとめました。
『先輩方のメッセージを参考に、これからの業務に活かしてください。私の方からは2点お伝えしたいと思います。
ひとつは、行政書士法(以下「同法」とする)を業務に結び付けて最低限の理解をしておくこと、もうひとつは、相談スキルを上げる努力をすることの2点です。
①一つ目ですが、皆さんが行政書士業務を行う場合、その処理の流れ(以下、「業務フロー」という)は通常、相談(法1条の3 4号)→書類作成(法1条の2)→手続等代理(法1条の3)となります。これを同法の条文をあてはめると以下のようになります。
「書類作成」の「書類」には、「役所に提出する書類(建設業許可申請等)」のみならず、「権利義務に関する書類(契約書、遺産分割協議書等)」も含まれます。
この業務フローを抑えておくと、当該業務の法的根拠を確認できます。
さらには、当該業務が、法定業務なのか、法定業務でも独占業務なのか、非独占業務な のかという点を、上記記載の条文とともに同法19条、21条の5を加味して確認しておいてください。今後、必ず悩むであろう「他の士業との業際問題」の際、その解決の手助けをしてくれることになるからです。ぜひ、ご確認をお願いします。
②もう一つが、相談スキルの向上です。業務フローでもお分かりのように、すべて「相談」から始まります。すなわち、業務受任の有無は、「相談」段階で決まるということになります。近年、「相談」についての研究は積極的に行われています。
従来の相談スタイルは、問題解決型相談(法的側面の問題解決にのみ焦点に当てる相談)が主流でした。ただ、この場合、素人である相談者との情報・知識の格差から、得てして相談を聴く側が高圧的な態度になりがちとの指摘がありました。
しかし、現在は、法的側面だけでなく相談者の感情面にも配慮した対人援助型相談へとシフトしています。相談者には心情・感情的な話もよく聞いてほしいという願望があるからです。この相談を行うには、相談を聴く側が相談者への傾聴と共感というスキルを学んでおくことが必要となります。現在は、相談技法については各種文献が出ていますので、ぜひ研究してみてください。』
野球は観るのも、プレイするのも好きです。
元々カープファンなのですが、去年からオリックスを応援しています。
今年のオリックスは、打線もよくなり、とても期待でき、楽しみです。
プレイは、しばらくご無沙汰しています。
実は、去年、自分で「100日で球速120キロ目標!」なんて計画を立てて、時間の合間を見て訓練していました(無謀ですね(;^_^A)。
私自身は球速主義ではないのですが、客観的な数字が欲しかったわけです。結果、70日のところで、95キロ前後から109キロくらいまで上がったのですが、体の方が悲鳴をあげて、辞めました。。。
これからは年齢に合わせて、コントロール重視でいきます!
また、落ちつきましたら、いつか野球がやりたいと思います。
6 「特別寄与料」制度の創設 (施行日 2019年7月1日。すでに施行済み。)
⑴立法趣旨: 従前の「寄与分」制度は、相続人のみが対象。相続人以外の親族(被相続人の子供の配偶者等)が被相続人の療養看護をしていた場合、この者の寄与が評価されず、不公平である。
そこで、親族間の公平をはかるため、相続人以外の親族にも金銭請求を認める「特別寄与料」制度を創設した。
⑵ 注意点:
特別寄与料の請求は、「相続の開始及び相続人を知ったとき」から6ヶ月、
「相続開始のときから」1年以内(除斥期間)
5.遺言執行者の権限強化について
(1)相続させる旨の遺言があった場合の遺言執行者の権限(1014条)
①相続させる旨の遺言(特定財産承継遺言)
相続させる旨の遺言(特定財産承継遺言):「遺産の分割の方法の指定」として遺産の中の「特定の財産」を共同相続人の1人又は数人に承継させるという内容の遺言。
例)「妻に居住建物を相続させる」「妻にA銀行の預金500万円を相続させる」
✕「長男に遺産の2分の1を相続させる」(「相続割合の指定」)
✕「遺贈」(相続人以外の人に財産を与える行為)
②遺言執行者の対抗要件具備権限(1014条2項)
(例)「自宅は妻に相続させる」+遺言執行者の指定あり。
(従前)
「相続させる旨の遺言」によって、相続開始と同時に自宅は妻のものとなるから、遺言執行者の手続なしに、当該相続人(妻)が単独で所有権移転登記手続き可。
(改正)
『特定財産承継遺言』があったときは遺言執行者も単独で登記手続ができる。
(1014条2項)(従前とおり、妻も単独で登記可。)
趣旨:
法定相続分をこえる権利を取得した者は速やかに対抗要件を備える必要が高まった。
+
相続時に相続登記がなされない不動産が多数存在(空き家・空地の社会問題化)
↓
対抗要件を備えるために必要な行為をすることを遺言執行者の権限とした。
遺言執行者としての職務を迅速に行える。妻が登記をしないうちに、子供らが自宅を相続登記して持ち分を売却するおそれがある。
(2)法定相続分をこえる権利取得の対抗要件(899条の2第1項)
改正相続法:
第899条の2第1項「相続による権利の承継は、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、次条及び第九百一条の規定により算定した相続分を超える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができない。」
目的:取引の安全→遺言の有無や内容は第三者は知り得ない。
注意点:対抗要件が必要なのは不動産に限らず動産、債権等すべての権利が対象。
(3)遺言執行者がいる場合の相続人の行為の効力(1013条2項)
(事例)被相続人の遺言には「不動産はXに遺贈する。Yを遺言執行者にしている。」と記載。相続人A(相続人は1人)が、相続開始後に当該不動産を自己名義に変更し第三者Bに売却した(移転登記済)。
↓
① 改正前 絶対無効
② 改正後 相対無効 :
前項の規定に違反してした行為は、無効とする。
ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
趣旨:取引の安全を重視。
※業務上の注意:
遺言執行者に就任後、速やかに受遺者に連絡を取り登記手続きをとること。
相続人に相続登記、売買に基づく所有権移転登記をされると、取り戻せても手間がかかる。取り戻せないと、賠償請求を受ける可能性もある。
4 遺言書保管制度の創設(法務局における遺言書の保管等に関する法律)
(施行日 2020年7月10日。すでに施行済み。)
※詳しくは法務省HPを。http://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html
(1)注意点
・保管の対象は,自筆証書遺言に係る遺言書のみ。
・遺言書は,法務省令で定める様式に従って作成されたものでなければならない。
・遺言書の保管の申請は,遺言者が遺言書保管所に自ら出頭することが必要。
(同第4条第6項,第5条)。
・遺言書保管所に保管されている遺言書は, 遺言書の検認不要。
(2)(質 問)
①施行前に作成の自筆証書遺言も、保管できるか。→可能と考える(条文上制限無し)。
②一度、遺言書を保管してしまうと、遺言書を書き直せないか。
→何度でも遺言書の書き直し、保管可能。
③父親がまだ生きているが、父親の書いた遺言書を見れないか。
→遺言者の生存中は、遺言者以外の者が遺言書の閲覧等をすること不可。
④父親が死んだが、遺言書を残したかどうか分からない。どのように調べればよいか。
ⅰ 遺言保管所に保管された自筆証書遺言→遺言保管所で検索可能。
ⅱ 公正証書遺言→日本公証人連合会の遺言書検索システムで検索可能。
その他の遺言書は、貸金庫等を含めて、自力で探さざるを得ない。
⑤自筆証書遺言を遺言保管所に預ける場合と公正証書遺言を作成した場合との違いは?
→
共通点:滅失、改変、紛失のおそれがないこと、検認不要、検索可能という点は同じ。
違う点:
・遺言保管所への手数料については未定だが、形式審査しかしないこと等を考えると、公正証書遺言に比べてコストは安くなるものと考える。
・自筆証書遺言を遺言保管所に預ける場合は本人出頭義務があるが、公正証書遺言の場合には、公証人に出向いてもらうことも可能。
・自筆証書遺言を遺言保管所に預ける場合は、保管申請時に申請者が本人であることの確認のみであり、遺言書作成時の意思能力については何ら担保されないと考える。他方、公正証書遺言には、公証人が関わり、遺言者の意思能力に一定の担保力を持つものと考えうる。
3 自筆証書遺言の方式緩和(施行日 2019年1月13日。すでに施行済み。)
(改正の趣旨)①高齢者にとって負担が大きい、②形式不備の一因(一部がワープロ、パソコンで書かれたものが多くある。)となっていたから。
↓
自筆証書遺言を「本文」と「財産の目録」に分け、
「財産の目録」については自書によらないことを許容(968条2項)。
→ ただし、相続財産の目録すべてのページに遺言者が署名捺印しなければならない。
※ 引き続き、相続法の改正箇所の説明です。
2 仮払い制度等の創設(909条の2)(施行日2019年7月1日。すでに施行済み)
(立法趣旨)
協議成立前でも被相続人の預貯金を相続開始後の小口の資金需要にこたえるため
(生活費等に使用)との需要に応える。
(1) 払戻しを受けられる金額の計算方法
(ア) 債権額の3分の1に法定相続分を乗じた金額
例)共同相続人が妻と子供1人、A銀行に普通預金300万円が残っていた場合→妻と子供は、各50万円ずつ請求可能。300万円×1/3×1/2=50万円
(イ) 各金融機関ごとに上限150万円(法務省令)
A銀行に150万円、B銀行に150万円は可。150万円は元利合計額。
(ウ) 「相続開始時」を基準
(2) 注意点
ⅰ 仮払い制度は、早い者勝ちの面を持つ。→相談者に注意を促す。
相続発生後に、誰かがATMでお金をすべて引き出してしまえば、この権利は使えないことになる。 300万円のうち50万円だけ残っていた場合、「相続開始時」を基準とするから、1人当たり50万円仮払いできることになり、残り全額が引き出され、後の者は仮払いが受けられなくなる。
※相続関連の法律が大きく改正になりました。法務省発行冊子「相続に関するルールが大きく変わります」(抜粋したもの)を中心に説明し、こちらのレジュメで補足します。
1 「配偶者居住権」の創設(1028条~)(施行日 2020年4月1日。すでに施行済み)
⑴ 「配偶者居住権」;
配偶者が相続開始時に被相続人が所有する建物に住んでいた場合に、終身または一定期間、その建物を無償で使用することができる権利。
(立法趣旨)建物の権利を「負担付きの所有権」と「配偶者居住権」に分ける(居住権の評価額を下げる)。→配偶者に、生活の拠点である居宅を確保した上で、生活資金の確保(配偶者の居住権を保護)。
⑵ 実務の具定例。
①遺言・遺産分割協議
(質問)妻に居住用不動産と生活資金としての現預金を
すべて残したい。妻が、子ども達から遺留分
請求を受けないようにしたい。
→ 妻に「配偶者居住権」+現預金、子に「負担付き所有権」
②再婚相手と同居
(質問)遺言によって「配偶者居住権」を取得した
妻が、その後に再婚。再婚した夫と同居できるか。
→ 不動産所有者の承諾が必要。違反し是正勧告にも従わないと、権利を消滅させられるおそれがある。
③通常の必要費
(質問)配偶者居住権が設定された居住建物の固定資産
税は誰が負担するか?
→ 通常の必要費は配偶者の負担となっている。
固定資産税は通常の必要費にあたるので、
配偶者が負担することになる。
2.預金者の判断基準
出損者、預入れ行為者、預金名義人が異なる場合、預金(債権)の帰属先(預金者)の判断基準?
判例:定期預金につき客観説
(名義の如何にかかわらず、自らの出損により、自己の預金とする意思で預金契約をした者を預金者)
理由:出損者保護。金融機関は、約款や準占有者に対する弁済の法理で保護され、
原則として、預金者が誰かにつき、利害関係を持たないため。
しかし、2003年より「金融機関等による顧客等の本人確認等に関する法律」が施行され、
金融機関も預金者の判断基準に利害関係を持たないといえなくなった。
近年、普通預金につき、事実認定をもとに預金の帰属先を名義人と判断した判例がでる
(最判平15・2・21判時1816・47。最判平15・6・12判時1828・9)
□預金の原資となった金員の帰属先として出損者と名義人のどちらが妥当か?
□誰が預金を管理・保管していたか?
この基準によれば、親が出損して預金口座を開設し、開設後も自ら預金の管理を行っていたというケース。
よって、親が預金者と判断され子名義の預金も、相続財産とされると考えられる。
3.どのような場合に争いになるか。
上記の場合、相続人間で、
「確かに、子名義だけど、~だから親の財産だよね。だからこれは相続財産にしようね。」となれば
問題なし。遺産分割協議書で確認し、例えば、そのまま名義人たる子に相続させるのであれば、特に払い戻し手続き等は不要となる。
しかし、名義人となっている子があくまで自分の財産である旨を主張すると、争いになる恐れあり。
「ケース別 遺産分割協議書作成マニュアル」(新日本法規)より
建物登記はA名義、しかし権利証はCが保持、固定資産税もCが負担してきた。
1.贈与契約の確認
2.特別受益の該当性
「生計の資本として」されてきたので、該当
特別受益の趣旨:遺産の前渡し、他の相続人との均衡を図って公平を図る。
3.特別受益の評価の基準時:遺産分割時(通説)
相続開始時から遺産分割まで相当時間が経過し、遺産の価額が変動した場合、
相続開始時点の評価額で分割するのは不公平だから。
4.登記手続
建物は相続財産にはならないので、Cに名義を移すには、贈与を原因とした移転登記手続が必要。
「ケース別 遺産分割協議書作成マニュアル」(新日本法規)より
「ケース別 遺産分割協議書作成マニュアル」(新日本法規)より
しかし、各人が遠隔地に住むなど一通の分割協議書を持ち回り作成することが面倒な場合がある。
そこで、相続人がそれぞれ個別に同一内容の「遺産分割協議証明書」を作成して、遺産分割が相続人全員の合意により成立したことの証拠資料とすることがある。
登記原因証明情報としても認められている。
「ケース別 遺産分割協議書作成マニュアル」(新日本法規)P103より
↓
失踪期間を満たしておらず、相続問題を早期に解決する必要がある場合には、不在者のための財産管理人を家庭裁判所に選任してもらう方法をとる。
民法903条2項は、特別受益者の相続分について、遺贈や贈与を受けた財産の価額が相続分に等しいか、又はこれを超えるときは、その者はその相続分を受けることができないとしている。
そこで、上記のような場合、登記実務上、登記原因証明情報として、その者の作成する「相続分なきことの証明書」(又は「特別受益証明書」「相続分皆無証明書」を添付して、ほかの相続人が相続による所有権移転登記を申請することが可能とされている(民事局長回答)。
記載内容は、「相続分以上の遺贈又は贈与を受けたので、相続分はゼロであり取得分はない旨が記載されるのが通例。
しかし、
実際には、労力、費用および時間がかかりがちな相続放棄、遺産分割協議書等の手続きを回避し、遺産のほとんど又は全部を共同相続人の一人又は数人に取得させる便法として利用させることが少なくない。
すなわち、相続分を皆無若しくは僅少でよいとする相続人の作成した「相続分なきことの証明書」を登記所に提出することで、前記相続人が対象不動産の持分移転登記を受けない状況を作り出す。
2.法律行為の効果は原則ない
「相続分なきことの証明書」は、過去の事実を証明する文書に過ぎず、処分書面ではない。そして、その作成・公布も事実行為なので、これらの行為だけで、実体的な権利変動を伴う法律行為がされたとは解されない。
よって、証明書作成者は、当然には相続分を失わず。改めて、遺産分割の申し立てができるのが原則(ただし、判例にて、例外として、認めた場合もある。でもあくまで例外。)
3.注意点
放棄と異なり、被相続人の債務を免れない。後日、問題が生じるおそれあり。
★判例(名古屋地判昭50.11.11判時813.70)
生前贈与を受けた事実がないにもかかわらず、贈与を受けた旨の「相続分なきことの証明書」を作成して、仮に相続人がその相続権を放棄する意思を持っていたとしても、それにより相続分を失うことを認めるのは相続放棄制度に対する一種の脱法行為を容認することになる。
「ケース別 遺産分割協議書作成マニュアル」(新日本法規)より
なお、相続放棄の効果から、放棄者の子等が放棄者を代襲して相続することはない。
「ケース別 遺産分割協議書作成マニュアル」(新日本法規)より
1.民法891条の欠格事由が存する旨を証する当該欠格者作成の書面(印鑑証明書付)
2.確定判決の謄本(欠格者を被告として相続権不存在の訴えを提起した場合の確定判決の謄本等)
が必要。
「ケース別 遺産分割協議書作成マニュアル」(新日本法規)より
父からの相続を受けるには、認知が必要。(母からの相続の場合は、不要)
従前は、法定相続分については、嫡出子の2分の1だったが、
平成25年12月5日,民法の一部を改正する法律が成立し,
嫡出でない子の相続分が嫡出子の相続分と同等になった
(同月11日公布・施 行)。
□養子:縁組により、養親の子となった者。養親の嫡出子として扱われるので、
順位、法定相続分も同じ。
*縁組後に養子の子が出生した場合に、その子に代襲相続の適用あり。
理由:要旨は、縁組の日から養親の嫡出子の身分を取得するので(民809)、
縁組の前に養子の子が出生した場合、
その子は被相続人の直系卑属とはならないから(民887②但し書き)
「ケース別 遺産分割協議書作成マニュアル」(新日本法規)より
外国人による遺言の場合
日本人の遺言であっても遺言者が外国に住所又は常居所を有している場合
遺言の対象となっている財産あるいは遺言をした場所が外国にある場合
など。
遺言の成立及び効力について
遺言当時の遺言者の本国法、遺言の取り消しについては、取消時の遺言者の本国法による(適用通則法37)
もっとも、
適用通則法37条では意思表示としての遺言そのものの問題のみで、
遺言という形式によってなされる遺言者の具体的行為については、当該行為の準拠法によるとされている。
しかし、
複数の国にまたがって生活している者が作成した遺言が方式上有効か否かを単一の準拠法のみによって判断すると、遺言者が前提としていた法と準拠法とが異なり、遺言が無効になるおそれがある。
そこで、
この不都合性を回避するため、
「遺言の方式の準拠法に関する法律」が制定。
一般の法律行為以上に多数の連結点を挙げ、それらの選択的連結とすることで遺言が方式上無効とされる可能性を低くした。
「ケース別 遺産分割協議書作成マニュアル」(新日本法規)より
②遺産が国外にある場合の日本人の在外資産の相続処理について
相続関係事件の国際裁判管轄権について
原則:被相続人の死亡当時の住所地国の裁判所
例外:遺産所在地国の裁判所
理由:一般に相続財産の大部分及び証拠資料は被相続人の生活の本拠地たる住所にあると考えられるから。
もっとも、
個々の事情により、具体的妥当性や処理の適性の観点から、
個々の事件ごとに管轄の有無を決定すべきと解せられるから。
そこで、
日本国の裁判手続きを利用するためには、
原則として、裁判所に、被相続人の最後の住所が日本にあったことを証する資料を提出する必要あり。
例外的に、被相続人の最後の住所が日本になかった場合には、遺産が日本国に存在すし日本国で裁判をすることが妥当であることを示す資料が必要となる。
「ケース別 遺産分割協議書作成マニュアル」(新日本法規)より
相続放棄した者も含む。
「ケース別 遺産分割協議書作成マニュアル」(新日本法規)より
一旦、共有としたうえで、各自の持ち分を第三者に売却し、各持分の割合で売却代金(から諸経費を差し引いた残額)を取得する。
しかし、
相続人全員の合意が得られないときには、裁判所の審判手続により当該遺産を換価して換価代金を分割せざるを得ない。
第三者に売却を委任することも可能。
判例
共同相続人全員によって売却された不動産は、遺産分割の対象たる相続財産から逸出するとともに、
その売却代金も、相続財産には加えず、共同相続人が各持分に応じて個々にこれを分割取得する。
例外として、一括して共同相続人の一人に保管させて遺産分割の対象に含める合意をするなどの特別の事情がある場合。
「ケース別 遺産分割協議書作成マニュアル」(新日本法規)より
「ケース別 遺産分割協議書作成マニュアル」(新日本法規)より
遺言執行者にとって、遺言に基づく執行が本来の職務の内容であり、相続人の意に反する結果になっても、相続人に対し、任務違反となるものではない。
「ケース別 遺産分割協議書作成マニュアル」(新日本法規)より