2014年

3月

22日

遺産分割メモ25:子供名義の預金が被相続人の財産といえる場合

1。背景:預金の名義は、子供だが、実際は親が通帳及び届出印を所持し、その入出金も親が行っていた場合

2.預金者の判断基準 

出損者、預入れ行為者、預金名義人が異なる場合、預金(債権)の帰属先(預金者)の判断基準?

判例:定期預金につき客観説

(名義の如何にかかわらず、自らの出損により、自己の預金とする意思で預金契約をした者を預金者)

理由:出損者保護。金融機関は、約款や準占有者に対する弁済の法理で保護され、

原則として、預金者が誰かにつき、利害関係を持たないため。

しかし、2003年より「金融機関等による顧客等の本人確認等に関する法律」が施行され、

金融機関も預金者の判断基準に利害関係を持たないといえなくなった。

近年、普通預金につき、事実認定をもとに預金の帰属先を名義人と判断した判例がでる

(最判平15・2・21判時1816・47。最判平15・6・12判時1828・9)

□預金の原資となった金員の帰属先として出損者と名義人のどちらが妥当か?

□誰が預金を管理・保管していたか?

この基準によれば、親が出損して預金口座を開設し、開設後も自ら預金の管理を行っていたというケース。

よって、親が預金者と判断され子名義の預金も、相続財産とされると考えられる。

3.どのような場合に争いになるか。

上記の場合、相続人間で、

「確かに、子名義だけど、~だから親の財産だよね。だからこれは相続財産にしようね。」となれば

問題なし。遺産分割協議書で確認し、例えば、そのまま名義人たる子に相続させるのであれば、特に払い戻し手続き等は不要となる。

しかし、名義人となっている子があくまで自分の財産である旨を主張すると、争いになる恐れあり。

 

「ケース別 遺産分割協議書作成マニュアル」(新日本法規)より 

2014年

3月

19日

遺産分割メモ24:長男が被相続人名義の建物につき生前贈与を受けていたとき

被相続人A

相続人:妻B

長男C 

建物登記はA名義、しかし権利証はCが保持、固定資産税もCが負担してきた。

 

1.贈与契約の確認

 

2.特別受益の該当性

「生計の資本として」されてきたので、該当

特別受益の趣旨:遺産の前渡し、他の相続人との均衡を図って公平を図る。

 

3.特別受益の評価の基準時:遺産分割時(通説)

相続開始時から遺産分割まで相当時間が経過し、遺産の価額が変動した場合、

相続開始時点の評価額で分割するのは不公平だから。

 

4.登記手続

建物は相続財産にはならないので、Cに名義を移すには、贈与を原因とした移転登記手続が必要。

 

「ケース別 遺産分割協議書作成マニュアル」(新日本法規)より 

2014年

3月

18日

遺産分割メモ23:海外在住の人の印鑑証明書に代わるもの

海外在住の人の印鑑証明書に代わるものとして、現地の日本領事館の作成した署名証明書(サイン証明書)の発行を受けて、これを提出する。

「ケース別 遺産分割協議書作成マニュアル」(新日本法規)より 

2014年

3月

17日

遺産分割メモ22:遠隔地、遺産分割協議証明書

本来は、共同相続人全員が1通の文書に署名・捺印をすることとし、

これを共同相続人の数だけ作成するのがのぞましい。

しかし、各人が遠隔地に住むなど一通の分割協議書を持ち回り作成することが面倒な場合がある。

 

そこで、相続人がそれぞれ個別に同一内容の「遺産分割協議証明書」を作成して、遺産分割が相続人全員の合意により成立したことの証拠資料とすることがある。

登記原因証明情報としても認められている。

 

「ケース別 遺産分割協議書作成マニュアル」(新日本法規)P103より

2014年

3月

16日

遺産分割メモ21:共同相続人の一人に成年後見人が付いた場合の遺産分割協議

法定相続分を原則とする。成年後見人は被後見人の利益を害するわけにはいかないので、法定相続分を下回る分割は難しい。家庭裁判所の指導でもある。

もちろん、若干の修正はある。

2014年

3月

15日

遺産分割メモ20:共同相続人の生死が不明

失踪宣告手続

失踪期間を満たしておらず、相続問題を早期に解決する必要がある場合には、不在者のための財産管理人を家庭裁判所に選任してもらう方法をとる。

2014年

3月

14日

遺産分割メモ19:相続分なきことの証明書のこと

1.本来の使われ方

民法903条2項は、特別受益者の相続分について、遺贈や贈与を受けた財産の価額が相続分に等しいか、又はこれを超えるときは、その者はその相続分を受けることができないとしている。

そこで、上記のような場合、登記実務上、登記原因証明情報として、その者の作成する「相続分なきことの証明書」(又は「特別受益証明書」「相続分皆無証明書」を添付して、ほかの相続人が相続による所有権移転登記を申請することが可能とされている(民事局長回答)。

記載内容は、「相続分以上の遺贈又は贈与を受けたので、相続分はゼロであり取得分はない旨が記載されるのが通例。

しかし、

実際には、労力、費用および時間がかかりがちな相続放棄、遺産分割協議書等の手続きを回避し、遺産のほとんど又は全部を共同相続人の一人又は数人に取得させる便法として利用させることが少なくない。

すなわち、相続分を皆無若しくは僅少でよいとする相続人の作成した「相続分なきことの証明書」を登記所に提出することで、前記相続人が対象不動産の持分移転登記を受けない状況を作り出す。

 

2.法律行為の効果は原則ない

「相続分なきことの証明書」は、過去の事実を証明する文書に過ぎず、処分書面ではない。そして、その作成・公布も事実行為なので、これらの行為だけで、実体的な権利変動を伴う法律行為がされたとは解されない。

よって、証明書作成者は、当然には相続分を失わず。改めて、遺産分割の申し立てができるのが原則(ただし、判例にて、例外として、認めた場合もある。でもあくまで例外。)

 

3.注意点

放棄と異なり、被相続人の債務を免れない。後日、問題が生じるおそれあり。

★判例(名古屋地判昭50.11.11判時813.70)

生前贈与を受けた事実がないにもかかわらず、贈与を受けた旨の「相続分なきことの証明書」を作成して、仮に相続人がその相続権を放棄する意思を持っていたとしても、それにより相続分を失うことを認めるのは相続放棄制度に対する一種の脱法行為を容認することになる。

 

「ケース別 遺産分割協議書作成マニュアル」(新日本法規)より

2014年

3月

13日

遺産分割メモ18:相続放棄後

相続放棄をした者は、はじめから相続人でなかったものとみなされるので、その結果、放棄をした者を除くほかの共同相続人が相続することになる。

なお、相続放棄の効果から、放棄者の子等が放棄者を代襲して相続することはない。

 

 「ケース別 遺産分割協議書作成マニュアル」(新日本法規)より

2014年

3月

12日

遺産分割メモ17:相続欠格(登記)

相続欠格者がいる場合の相続登記について

1.民法891条の欠格事由が存する旨を証する当該欠格者作成の書面(印鑑証明書付)

2.確定判決の謄本(欠格者を被告として相続権不存在の訴えを提起した場合の確定判決の謄本等)

が必要。

 「ケース別 遺産分割協議書作成マニュアル」(新日本法規)より

2014年

3月

11日

遺産分割メモ16:嫡出子・養子

□嫡出子:婚姻関係にある男女間において生まれた子

 非嫡出子:嫡出子以外の子

 

 父からの相続を受けるには、認知が必要。(母からの相続の場合は、不要)

 従前は、法定相続分については、嫡出子の2分の1だったが、

 平成25年12月5日,民法の一部を改正する法律が成立し,

 嫡出でない子の相続分が嫡出子の相続分と同等になった

 (同月11日公布・施 行)。

 

□養子:縁組により、養親の子となった者。養親の嫡出子として扱われるので、

 順位、法定相続分も同じ。

 *縁組後に養子の子が出生した場合に、その子に代襲相続の適用あり。 

 理由:要旨は、縁組の日から養親の嫡出子の身分を取得するので(民809)、

 縁組の前に養子の子が出生した場合、

 その子は被相続人の直系卑属とはならないから(民887②但し書き)

 

「ケース別 遺産分割協議書作成マニュアル」(新日本法規)より

2014年

3月

10日

遺産分割メモ15:渉外遺言

ここにいう渉外遺言とは、

外国人による遺言の場合

日本人の遺言であっても遺言者が外国に住所又は常居所を有している場合

遺言の対象となっている財産あるいは遺言をした場所が外国にある場合

など。

 

遺言の成立及び効力について

遺言当時の遺言者の本国法、遺言の取り消しについては、取消時の遺言者の本国法による(適用通則法37)

もっとも、

 適用通則法37条では意思表示としての遺言そのものの問題のみで、

遺言という形式によってなされる遺言者の具体的行為については、当該行為の準拠法によるとされている。

しかし、

複数の国にまたがって生活している者が作成した遺言が方式上有効か否かを単一の準拠法のみによって判断すると、遺言者が前提としていた法と準拠法とが異なり、遺言が無効になるおそれがある。

そこで、

この不都合性を回避するため、

「遺言の方式の準拠法に関する法律」が制定。

一般の法律行為以上に多数の連結点を挙げ、それらの選択的連結とすることで遺言が方式上無効とされる可能性を低くした。

 

「ケース別 遺産分割協議書作成マニュアル」(新日本法規)より

2014年

3月

09日

遺産分割メモ14:渉外遺産分割

場面としては、2つ。

①遺産が国内にある場合の在日外国人の遺産の処理について

②遺産が国外にある場合の日本人の在外資産の相続処理について

 

相続関係事件の国際裁判管轄権について

原則:被相続人の死亡当時の住所地国の裁判所

例外:遺産所在地国の裁判所

理由:一般に相続財産の大部分及び証拠資料は被相続人の生活の本拠地たる住所にあると考えられるから。

もっとも、

個々の事情により、具体的妥当性や処理の適性の観点から、

個々の事件ごとに管轄の有無を決定すべきと解せられるから。

そこで、

日本国の裁判手続きを利用するためには、

原則として、裁判所に、被相続人の最後の住所が日本にあったことを証する資料を提出する必要あり。

例外的に、被相続人の最後の住所が日本になかった場合には、遺産が日本国に存在すし日本国で裁判をすることが妥当であることを示す資料が必要となる。

 

 「ケース別 遺産分割協議書作成マニュアル」(新日本法規)より

2014年

3月

08日

遺産分割メモ13:基礎控除における法定相続人の数

相続放棄した者も含む。

  「ケース別 遺産分割協議書作成マニュアル」(新日本法規)より

2014年

3月

07日

遺産分割メモ12:分割方法

換価分割:遺産の中の個々の財産を売却して、その代金を配分する方法。

一旦、共有としたうえで、各自の持ち分を第三者に売却し、各持分の割合で売却代金(から諸経費を差し引いた残額)を取得する。

しかし、

相続人全員の合意が得られないときには、裁判所の審判手続により当該遺産を換価して換価代金を分割せざるを得ない。

第三者に売却を委任することも可能。

 

判例

共同相続人全員によって売却された不動産は、遺産分割の対象たる相続財産から逸出するとともに、

その売却代金も、相続財産には加えず、共同相続人が各持分に応じて個々にこれを分割取得する。

例外として、一括して共同相続人の一人に保管させて遺産分割の対象に含める合意をするなどの特別の事情がある場合。

 

「ケース別 遺産分割協議書作成マニュアル」(新日本法規)より

2014年

3月

06日

遺産分割メモ11:分割の基準

例えば、

遺産の細分化によって生じる不都合性がある場合(居住用、営業用の不動産を分割すると、居住や営業に困難が生じる場合など)、

できるだけ一括して特定の相続人が取得できるものとし、ほかの相続人には代償金を支払うなどして相続人間の公平を図るべき 。

「ケース別 遺産分割協議書作成マニュアル」(新日本法規)より

2014年

3月

05日

遺産分割メモ10:遺言執行者の職務

遺言執行者は、相続人全員の合意の下に遺言内容と異なる財産処分を求められても、遺言に基づいた執行をすることができる。

遺言執行者にとって、遺言に基づく執行が本来の職務の内容であり、相続人の意に反する結果になっても、相続人に対し、任務違反となるものではない。

 

 「ケース別 遺産分割協議書作成マニュアル」(新日本法規)より

2014年

3月

04日

遺産分割メモ9:協議の考え方

相続人は、法定相続分としてどの程度の割合の相続を受けることができるか把握したうえで、共同相続人との間で協議を進めることが、相続人間の公平な分配の観点からすると望ましい。

  「ケース別 遺産分割協議書作成マニュアル」(新日本法規)より

2014年

3月

03日

遺産分割メモ8:寄与分

寄与分とは、共同相続人の中に、被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者がある場合には、ほかの相続人との間の実質的公平を図るために、その寄与相続人に対して、相続分以上の財産を取得させる制度。

寄与の結果としては、被相続人の財産を維持・増加させたことが必要。

 

 「ケース別 遺産分割協議書作成マニュアル」(新日本法規)より

2014年

3月

02日

遺産分割メモ7:特別受益(具体的相続分基準説)

遺産総額:3000万円

相続人が妻A、子B、C、D

特別受益がない場合、A:1500万円

子B、C、D:500万円

 

1.Dが特別受益に該当する生前贈与300万円を受けていたとき

 

遺産総額:3300万円

A:1650万円

B: 550万円

C: 550万円

D: 550万円-300万円=250万円

 

2.Dが特別受益に該当する生前贈与1200万円を受けていたとき

 

遺産総額:4200万円

A:2100万円

B: 700万円

C: 700万円

D: 700万円-1200万円=ー500万円

A、B、Cに対する分割財産は、500万円不足することになるが、

Dは、500万円を返還する必要はなく、

ほかの共同相続人は分配可能額である3000万円のみで分配せざるを得ない。

結局

A:1800万円

B: 600万円

C: 600万円

D:    0円(結局、1200万円もらったまま)

はこの結論でいいのか?

2014年

3月

01日

遺産分割メモ6:法定相続分(半血兄弟姉妹)

兄弟姉妹に父母の一方のみを同じくする半血の兄弟姉妹がいる場合、

父母双方を同じくする全血の兄弟姉妹の相続分の半分

 

「ケース別 遺産分割協議書作成マニュアル」(新日本法規)より 

2014年

2月

28日

遺産分割メモ5:遺産からの収益

折衷説:相続開始後に遺産から生じた果実は、遺産とは別個の共有財産であるため、遺産とみることはできない。

よって、その分割・清算は原則的に訴訟手続きによる。

しかし、

遺産と同時に分割することによって権利の実現が簡便に得られるなどの合理性を考慮すると、当事者間に合意がある場合には、

前記果実を遺産と一括して遺産分割の対象することができるという見解。

判例でも多く採用。

 

「ケース別 遺産分割協議書作成マニュアル」(新日本法規)より

2014年

2月

27日

遺産分割メモ4:不動産の調査方法

名寄帳

固定資産税納付通知書

登記事項証明書:登記事項の乙区の共同担保目録を確認

 

「ケース別 遺産分割協議書作成マニュアル」(新日本法規)より

 

 

2014年

2月

26日

遺産分割メモ3:遺産の範囲(香典、使用貸借)

*香典は、喪主への贈与なので遺産に含まれず、一般的には香典返し及び葬儀費用に充当される。

余りが生じた場合の帰属者については、喪主帰属説、相続人帰属説等の対立がある。

 

*使用貸借は、従来は相続されないというのが通説。

もっとも、建物所有を目的とする土地の使用貸借の場合に、個人的要素を考慮する必要がないとして使用貸借の存続を認めた裁判例あり(東京地判平5.9.14判タ870・208等)

 

「ケース別 遺産分割協議書作成マニュアル」(新日本法規)より

2014年

2月

25日

遺産分割メモ2:相続分の譲渡と取戻し

1.遺産分割前の相続分について、いつでも譲渡可(民905)。

 

 相続分を譲渡した相続人以外の共同相続人は、相続分の譲渡を受けた第三者に対し、価格及び費用を償還償還(時価による償還が必要)して、第三者から取戻しをすることができる。

 趣旨は、共同相続人以外の第三者が相続分を取得して遺産分割に加わることから生じる紛争を防ぐため。

 取戻権は、形成権、一方的意思表示で足りるが、譲受人に対する譲渡の時から1か月以内にこれを行使する必要がある。

 

 *譲受人に、相続人又は包括受贈者は含まない。それは単なる相続分の増加に過ぎないから。

  すなわち、相続分を共同相続人に無償で譲渡することは、事実上の相続放棄を可能とする効  果がある(ただし、債務等は免れない)

 *ここにいう相続分とは、債務などの消極財産も含めた包括的な遺産全体に対する割合的な持  分、つまり、相続人の地位であること。

 

  個々の財産に対する共有持分の譲渡の場合は、同条を適用しない。

 

2.登記手続き

  登記上、被相続人から譲受人である第三者に直接登記できない。

1)まず、共同相続人による相続登記を完了させる。

2)次に、登記原因を「平成○年○月○日相続分の贈与」等として、

  共同相続人から第三者へ譲渡する旨の移転登記を行い、遺産共有状態を公示する。

3)その後、「平成○年○月○日遺産分割」を原因として、持分全部移転登記をする。

 

3.税金

1)譲渡人が一旦、相続するので、相続税に注意

2)第三者への譲渡が有償なら、譲渡人には、伴わせて譲渡所得の申告が必要、

  無償なら、譲受人に贈与税の申告が必要となる場合がある。

 

「ケース別 遺産分割協議書作成マニュアル」(新日本法規)より

2014年

2月

24日

遺産分割メモ1

遺産分割とは、

共同相続における遺産の共同関係を解消し、

遺産を構成する個々の財産を各相続人に分配して、

それらを各相続人の単独所有に還元する手続。

遺産の相続人共有状態を単独所有に戻す手続のこと。

 

「ケース別 遺産分割協議書作成マニュアル」(新日本法規)より

平成28年度

 

 

◆「経歴・役職」を更新しました(平成28年3月27日)。

 

◆特許庁:知財人材データベースに登録しました。

 知財人材データベース

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